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子を思う母心

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息子さん2号一家の帰省を前に大掃除に余念のない節子さん。
1歳になる孫ちゃんと、アレルギーのあるお嫁さん2号に来てもらうために大忙しである。
というのも、前もって息子さん2号から
「おかん、ちゃんと掃除しておいてくれよ。犬の毛が舞っているようなことにならんようにしておいてくれ。
俺が送った空気清浄機も、ちゃんと毎日稼動させてくれているだろうな?」
と、厳しい指令がとんでいる。
元はといえば、息子さん2号がその犬を連れ帰って飼いはじめたのに、である。
空気清浄機はお母さんのため、というのではなく自分たち家族が帰省したときのために、環境整備をしておいてくれ、ということなのだが・・(電気代がもったいないと、節子さんは普段は止めている)
前に家に泊まったときには、息子さん2号はお嫁さんが行く先々をチェックし、汚いところがあれば自分でささっと整えてお嫁さんを誘導していたくらいである。
それを目の当たりに見せられた節子さんとしては、どうにか頑張って掃除するしかない、と思ったようである。

だが一週間のうち、会社での仕事を含め掛け持ちで働き、隣に住む90のお姑さん、愛犬の世話で目の回るような忙しい毎日を送る節子さんは、分単位でスケジュールをこなしている。
今回の大掃除も早くから予定表を作って取り組んでいたのだが。
先日、ふってわいた身内の不幸で、またも走り回る羽目になりスケジュールどおりには事が運ばなくなってしまった。
「もう、どーしょーか。時間がない。昨日も3時間くらいしか眠れてない・・・」
と、目の下にクマをつくり目をしょぼつかせて息も絶え絶えに言う。
ならば、この際開き直って、お嫁さんにメールして今回、ごたごたしていて時間がなかったから掃除してないけど、汚いところは目をつぶっておいて、と先制攻撃しておけばいいじゃん。と、大雑把な私なんかが言うと・・
「私や犬を嫌って寄りつかない1号の嫁と違い、アレルギーがあっても来てくれる嫁のことや、嫁に対して自分の母親がきちんとしていると見栄をはりたい息子のことを思うと、無理してでもがんばろうか、って思うんよ・・」
と、寂しそうに笑っていた。
ふーん、そんなものなのかな~・・と腑に落ちない私であったが。

先日、吉永小百合さんが朗読する「慟哭」という詞を聞いていて、はたと思い当たった。
被爆し、子どもと別れた母親の子を思う詞である。
いつの時代も、どんな場合も形は違えど子を思う母の気持ちは同じであるということ。
自分がしんどくても、それで息子が嫁にいい顔が出来て、嫁や孫が気持ちよく泊まってくれるのなら、がんばろっか・・
そんな節子さんの心の声を聞いた気になった。

明日は、うちの息子も帰ってくる。
食べたい、と言っていた手巻き寿司や、果物、とうもろこしを用意しておこうか。
Commented by アプリコット at 2010-08-17 13:57 x
忙しい毎日なのに、掃除も徹底的にしなければならないとは、本当に大変ですね。
私も息子もハウスダストアレルギーが酷いので、自宅ではない所の寝泊りが大変なことをなんとなくわかります。
アレルギーを引き起こす原因は「汚れ」ではないのですが、きっと息子さんにはわからないのでしょうねぇ。ややこしいですね。
我が家の息子の場合、夫の実家でも、自分の実家でもアレルギーが出るときは出るのですが、息子2さんにとっては、「自分の実家で症状が出ないで欲しい」との思いが強いのかも知れませんね。
節子さんの立場からしたら、思うことも色々あるでしょうけれど・・・もっと丈夫なお嫁さんだったら・・・とか、息子2さんがそこまで気にしないで済む大らかなお嫁さんだったら・・・とか。
実家に泊まって欲しいわけでなければ、本当は宿を外に取る方がずっと精神衛生上いいのですが、経済的な息子さんへの負担を思うと、結局疲れるまで掃除するほうを選んでしまいそうな気がします。大掃除してもアレルギーは出るんですよねぇ。これを言ったら元も子もないですが(涙)
だから、節子さんにはあまり無理をしないように、適当に済ませて!と是非お伝え下さい。
Commented by CITROEN at 2010-08-17 22:22 x
無事、事なきを得て息子さん一家を送り出した節子さんです。
よくわからないのは、お嫁さん2号はくしゃみが軽く出る程度、孫ちゃんは別にアレルギー反応があるわけではなく、アレルギー体質になったらいけないから、というのが真相らしいです。もっとよくわからないのは、お嫁さんの実家でも犬を飼っているし、家の中は節子さん宅と同様な汚れ具合なんだそうです。
まぁ、自分がどうしても実家に家族を連れて帰りたいっていう息子さんが過剰に反応しているきらいがありますが。イマドキの男の子には珍しく「家」にこだわるんだそうです。なので、ホテルより実家、となるそうです。
救いは、お嫁さん二号が息子さんの気持ちを汲んで、お姑さんに寄り添ってあげよう、っていう優しさが見えるところです。なので節子さんもがんばっちゃうみたいです。
by citroentz | 2010-08-09 14:05 | つらつら | Comments(2)

残り半世紀、反省記としないための覚え書き


by citroentz