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お嬢さん、お手をどうぞ。

銀杏、きのこ、の類は買うものではない。
と、豪語する節子さん。
つまり、収穫するものなんだそうだ。
なにせ、昭和50年にお嫁にくるまで、かまどに山で拾い集めた枯れ木をくべてご飯を炊いていた人である。
色々なものの収穫作業が大好き。

先日も、ある果実の収穫作業にボランティアで参加した。
何度も念を押されたそうで、
「あくまでも、これは農作業なんですけど、大丈夫ですか?
観光のつもりで来ていただくと全くご期待に添えませんから。
朝から晩まで、どっぷり農作業に浸っていただきますから。
それでもいいんですね?」
と、しつこく念を押されたが、それをよしとして参加したのである。

そこまで言われて参加したのは、節子さんを含め3組。
退職後の夫婦、節子さんのご主人くらいの年齢の男性ひとり、そして節子さん。
目的地の最寄り駅に着くと、農園の人が「軽トラ」で迎えに来ていた。
ほんまに、農作業なんや・・・
と、軽いショックを受け、荷台に乗り込もうとしたらば。
先に乗り込んだ独りできていた男性が、
「はい。」と、節子さんに手を貸すべく差し出したのだそうだ。
節子さんは、ものすごーーーーーーーく、ビックリしてしまったらしい。
集合地点で、初めて会ったひとなのに、ごく自然に手を差し出したことに。
そして、なにより、そうされたことに、ビックリ仰天した、というのである。
この日の経験で一番驚いたことは、このことだったという節子さん。

私は、トイレもない場所で何時間も立ちっぱなしで農作業をさせられた、ということや、その農園の人たちに混じって、黙々と選別作業をさせられた、ということのほうがビックリ!であったので、節子さんの話は右から左にさらっと流したのだが。
あとで、落ち着いてその話を分析すると、なにか変、ということに気づいた。
話の中で、節子さんは、手を貸して貰ったことがない、と言った。
えーーーーーーっ!
ご主人が、奥さんに手を貸したことはないんだろうか???
不思議に思い、それを尋ねてみた。
「あったりまえやん!そんなこと、うちのダンナがするわけない。
そりゃ、私が手を貸して、といえば貸してくれるけど、言わない限り先に手を出すことはない!」
と、きっぱり言われてしまった。
へぇ・・・
団塊の世代だから?
男尊女卑の考えが色濃く残る保守王国だから?
ふーん・・・
それって、その個人個人の性質のちがいなんだろうか?

まっ、その一件でその日一日、節子さんが気分よく仕事が出来たんだからいいけどね。
by citroentz | 2010-12-06 20:16 | つらつら | Comments(0)

残り半世紀、反省記としないための覚え書き


by citroentz